人事労務ニュース/トピックス

文書作成日:2024/10/10
いよいよ始まる給与のデジタル払い

2024年8月9日に、給与(賃金)のデジタル払いが認められる資金移動業者として、1つの業者が厚生労働省の指定を受けた。2023年4月に解禁された賃金のデジタル払いに関して動きがあったことから、内容を案内することとした。

 今日は、賃金のデジタル払いについて案内したいと思います。

 かなり前にお話をお聞きしたテーマですね。

 そうですね。賃金のデジタル払いは2023年4月からスタートしていましたが、厚生労働大臣の資金移動業者の指定に係る審査が終了せず、実質的には利用できない状態が続いていました。そして、2024年8月9日に、ついに1社の指定が行われました。

 なるほど。動きが出てきたということですね。

 はい。今回、指定を受けた資金移動業者はPayPay株式会社で、ソフトバンクグループ各社の従業員向けに2024年9月の給与からサービスが開始となり、その後、すべてのユーザー向けに2024年内にサービスが開始される予定です。

 まずは1社だけなのでしょうか?

 そうですね。現在、この会社の他にも3社が申請を行っており、審査中になっています。今後、更なる指定も行われ、徐々に社会的な関心も高まってくると予想されますので、賃金のデジタル払いを導入する際の流れを確認しておきましょう。手続きとしては、以下の6つが必要になります。

  1. 指定資金移動業者の確認
  2. 導入する指定資金移動業者のサービスの検討
  3. 労使協定の締結等
  4. 従業員への説明
  5. 従業員の個別の同意取得
  6. 賃金支払いの事務処理の確認・実施

 3の労使協定の締結が必要なのですね。

 はい、銀行口座への振込の場合と比較すると、この労使協定の締結の部分が違いとなります。労使協定には、対象となる労働者の範囲、対象となる賃金の範囲とその金額、取扱指定資金移動業者の範囲、実施開始時期を記載する必要があります。このほかにも、就業規則や給与規程等の改定が必要であれば、見直す必要がありますね。

 なるほど。そのほか、どのようなことに注意が必要でしょうか?

 4にあるように、デジタル払いを希望する従業員に対して、デジタル払いに関する必要事項を説明しなければなりません。デジタル払いを強制しないために、この説明の際には、銀行口座への振込など賃金の支払い方法に関する他の選択肢もあわせて提示することになっています。

 説明をした上で、5の個別の同意を取るということですね。

 当社としても導入の有無についての検討が必要ですが、従業員からデジタル払いにして欲しいという要望があった場合には導入しなければならないのでしょうか?

 デジタル払いの導入は、従業員だけでなく会社にとっても強制されるものではありませんので、導入する義務はありません。

 まずは、検討するという回答が可能なのですね。

 はい。今後、指定資金移動業者が増えることにより、メディア報道の増加、従業員のニーズの高まりも予想されます。会社が支払うことになる指定資金移動業者への手数料も低額や無料となる可能性もあり、銀行口座への振り込みよりもメリットが出てくるかもしれません。そのため、今のうちから大きな対応方針を考えておくとよいですね。

 確かにそうですね。

>>次回に続く



 今回の賃金のデジタル払いは、従業員から同意を取る必要があり、厚生労働省のウェブサイトには、同意書の様式例が掲載されています。またこの同意書については、多言語翻訳版が提供されており、英語、中国語、韓国語など13ヶ国語での提供も行われています。今後、賃金のデジタル払いの導入される企業で、外国人労働者がいるような場合は、このような翻訳版の活用が考えられます。

■参考リンク
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
厚生労働省「同意書の様式例(多言語翻訳版)(Consent Forms (Reference Example)(Multilingual Translation))

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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